皆さんには人生における思い出の場所はありますか?今回ご紹介する作品は『キッチン』(作:吉本ばなな)です。
ページ数は約200ページと少なめですが、ぎゅっと内容の詰まった読み応えのある名作です。
『キッチン』は吉本ばななさんが海燕小説新人賞を受賞した作品でもあり、世界中で翻訳され愛されている作品です。
『キッチン』(作:吉本ばなな)あらすじ
幼いころ両親を亡くし、祖母と共に生活を送ってきたみかげ。しかし唯一の肉親であった祖母まで突然亡くなってしまう。
気持ちの整理がつかず、呆然と日々を過ごすみかげの元に一人の青年が訪ねてきた。彼の名前は雄一。無き祖母の行きつけの花屋でアルバイトしていた彼は、行き場所をなくしたみかげに彼の実家の田辺家に居候することを提案する。
特に深く考えずに田辺家に転がり込み、直感と独特な感性で万事動く雄一と、個性的を絵にかいたような彼の母(実は父)であるえり子さんとの奇妙な3人生活が始まった。
祖母が亡くなった現実を受け止めきれないでいたみかげ。しかし田辺家の人々の暖かさ、まっすぐさに次第に次第に落ち着きを取り戻す。その後、みかげは大学を辞めて料理研究家のアシスタントとして働き始め、やがて田辺家を出た。
それから半年後のある冬の日。突如田辺家を悲劇が襲って ー。
『キッチン』(作:吉本ばなな)感想
人生は本当に・・・
この小説の登場人物、特にみかげを含めた田辺家の人たち、いい意味で行動力ありすぎです(笑)。
主人公のみかげは雄一が現れるまでは祖母の死を受け止めきれずに日々過ごしていました。しかし、田辺家に迎え入れられるやいなや、個性的な田辺家親子をほとんど悩まず受け入れ、あっという間に新しい自分の居場所を ー新しいキッチンをー 手に入れてしまいました。
雄一もえり子さんも深く考えずに赤の他人のみかげを受け入れ、いつの間にか家族同然の愛情をみかげに注ぎます。他の小説では少なくとも数日、長いと数か月は物語の時間が経過しそうなものです。
人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことが何かわかんないうちに大きくなっちゃうと思うの。 (吉本ばなな作『キッチン』より)
えり子さんの人生を表したような言葉です。
ほとんど出会ったその日に信頼関係を作ってしまったみかげと田辺家。スピード感があるとはこういうことを言うのでしょうか。
幸福とは・・・
みかげは初めて田辺家に入った時から田辺家のキッチンを気に入りました。みかげにとってキッチンは特別な場所。祖母の死から逃れるように居場所を探した結果、祖母と過ごした家のキッチンで眠り、素敵なキッチンを持つ田辺家に導かれました。
雄一も一見フワフワして見えます。しかしその実芯があり、大切な人のことはとことん考えられる男です。雄一とみかげの思い切りの良さ、行動力。これらは揺るがぬ自分の「居場所」を持っているから、かもしれませんね。
物語のラストで2人である決意を固める雄一とみかげ。ちなみに「愛してる」とか「好きだ」とかいうセリフは本作ではほぼ出てきません。それでも、2人が互いにかけがえのない存在であることは十分すぎるほど伝わってきます。
幸福とは、自分が実は一人だということをなるべく感じなくていい人生だ。 (吉本ばなな作『キッチン』より)
一緒に歩くけど手は繋いでない。でも歩く方向、歩幅、スピードはピッタリ同じ。2人を見ているとそんな感じがします。雄一とみかげの未来に幸あれ!
『キッチン』(作:吉本ばなな)口コミ・値段
以下に、各通販サイトのカスタマーレビューと値段を記載します。
●Amazonショッピング:4.3/5.0 文庫版400円 kindle版418円
●楽天市場:4.0/5.0 440+送料無料円(中古版約200~330円)
●Yahooショッピング:4.7/5.0 440+送料500円(中古版約110~220円)
平均的な評価は4.3~4.4程とかなり高め。値段は書籍本体と送料を含めて約800~1300円ぐらいです。各サイトに中古本もあるので、探してみてください。
楽天市場やYahooショッピングではかなりお手頃に中古品が手に入ります。
レビューでは、「つらい時に慰めてくれる作品」「色褪せない面白さ」の他、「独特な世界観」という評価も目立ちました。
まとめ
今回はいかがだったでしょうか?
吉本ばななさんは『キッチン』の他にも有名作品が多いのでご存じの方も多いのではないかと思います。
そのなかでも『キッチン』はファンの方も多いようです。感想などありましたら是非紹介していただければと思います。
ブログの方もよろしくお願いします!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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