【コミック・小説】虐殺器官 あらすじ・感想まとめ!|#読書人ブログ

戦争

今回ご紹介する作品は、伊藤計劃原作の戦争漫画『虐殺器官』です。

本作は小説が原作ですが、今回は漫画版『虐殺器官』を紹介したいと思います。

若干のネタバレを含みますので、購読の際はご注意ください。

過去の記事もよろしくお願いします!

伊藤計劃原作『虐殺器官』 あらすじ

荒廃した世界で・・・

伊藤計劃原作『虐殺器官』いらすとや1

近未来、戦争、テロリズム、そして虐殺によって国際秩序が失われた世界。

アメリカ政府はその圧倒的な国力で世界の秩序を守るべく、世界各国で紛争や虐殺を引き起こす要人を暗殺すべく、「情報軍特殊検索群i分遣隊」を結成した。

結成から2年、彼らはアメリカの秩序の先兵として、コーカサス地方、アフリカ、東欧など世界中で暗殺を成功させていた。

ただ一人の男を除いて ー。

虐殺の権化「ジョン・ポール」

伊藤計劃原作『虐殺器官』いらすとや2

ジョン・ポールとは何者か ー。

アメリカ政府に付け狙われるアメリカ人、同胞から暗殺命令を受けた逃亡者、死体の山を築く虐殺ツーリスト・・・彼の「犯行」についての情報は多々あれど、その正体は誰も知らない。

彼は世界各国の首脳の耳元に突如現れ、人々にささやく。すると半年も持たず、その国には死体の山が出来上がった。世界で頻発する虐殺の先導者をアメリカは躍起になって暗殺しようとしたが、いまだその尻尾をつかめていなかった。

情報軍特殊検索群i分遣隊所属、シェパード大尉はジョン・ポールの追跡及び暗殺を達成すべく、東欧はハンガリーの首都・プラハに降り立った。

この地で彼は「ビショップ」と名前を変え、ある語学教室に生徒として入学、潜入する。数日前にジョン・ポールがこの教室を訪れたことが判明したらしい。

果たしてシェパードはジョン・ポールの正体を突き止めることが出来るのか?

伊藤計劃原作『虐殺器官』 感想

なぜ虐殺はおきるのか?

伊藤計劃原作『虐殺器官』1

ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

この作品は戦争・言語・虐殺といったハードな内容が多いので、中々読んでいてしんどいと感じる人が多いかもしれません。

しかし、本作の内容は現在の世界情勢と明確に重なる部分があり、世界の諸問題に関心がある人なら一度読んでおいて損はないでしょう。

本作のテーマはタイトルからもわかるように「虐殺」です。皆さんも歴史の授業で過去に起きた大虐殺について勉強した経験はありませんか?

ナチスドイツ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア・・・。歴史を後からみる我々は、「なんでこんなひどいことが出来るんだろう」と考えます。

この疑問について作中の重要人物、ジョン・ポールは、虐殺は文法を持つと主張します。

いわく、人間には先天的に備わった「生得的な文生成機能」と呼べる器官が存在する。その遺伝子に組み込まれた言語を耳にしたとき、脳にある種の変化が生じる、と ー。

重いテーマと考えさせられるラスト

通常虐殺の原因というと、文化の違い、宗教の違い、人種の違いなどが真っ先に挙げられます。

しかし、本作では虐殺は生来人間の遺伝子にプログラムされている決まった「言語」に触れた瞬間に起きる先天的な衝動だとしています。

言語と虐殺 ー。一見何の関係もなさそうなこの2つの要素が本作では見事なほどにリンクし、「なるほどなぁ~」と納得してしまうほど見事な理論に完成しています。この発想力がすごいですね。

戦争をテーマにした作品は数多くありますが、それらはみな実際の戦闘や、あるいは民間人の被害、その悲惨さについて焦点が当てられることがほとんど。なぜ戦争が、虐殺が起きてしまったのか、その原因に深く触れる作品はそう多くはないと思います。

かなりデリケートな、そして難しい内容になってしまうので仕方ない面はあるでしょう。そんな難しいテーマにこの作品は触れています。それでもしっかり読めて、理解できるんだからすごい!

また、ラストも絶妙な、考えさせられる終わり方で締められます。個人的にはこんな感じの、考えさせられる終わり方は大好きです。より印象に残りますよね。

おわりに

伊藤計劃原作『虐殺器官』漫画版、いかがだったでしょうか?

今私たちが生きる世界情勢と重なるこの作品。読んでいてとても考えさせられました・・・。

本作は小説、またアニメ化もされているので、気になる方はチェックしてみてください。

ブログの方もよろしくお願いします!

読書人
読書人

最後まで読んでいただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました