アフタヌーン連載『イサック』あらすじ・感想まとめ

コミック

今回ご紹介する作品は、月刊アフタヌーンで連載中の歴史バトル漫画『イサック』(作:真刈信二・DOUBLE-S)です。

舞台は17世紀、300年戦争真っただ中の神聖ローマ帝国。田舎のとある城に傭兵として訪れたのは日本人・イサックであった。彼はある目的のために、遥々海を越えてヨーロッパまでやってきたという。遠く故郷を離れた異国の地で、一人の侍の壮絶な戦いが始まる。

本作は2017年に月刊アフタヌーンにて連載が開始されました。最新刊はこちらからどうぞ。

神聖ローマ帝国ってどんな国?

物語の紹介に入る前に、舞台である「神聖ローマ帝国」について軽く触れてみましょう。

神聖ローマ帝国は現在のドイツ、オーストリア、チェコ、オランダ、ベルギーなどの西欧から中欧にかけてを領域とし、ローマ教皇によって支持された皇帝が「ドイツ王」として統治する複合多民族国家でした。

その成立は西暦962年のオットー1世の戴冠とされることが一般的です。しかし実質は800年のカール大帝の戴冠時に帝国は成立したと言えます。

帝国の国制

神聖ローマ帝国における最大の特徴はその国制だと言えます。「帝国」と呼ばれながらも、我々がイメージする絶対的権力者である皇帝が君臨する国家ではなく、地方を支配する王、侯爵、伯爵、司教などが大きな力を持つ地方分権型国家でした。

帝国の皇帝はそれら諸侯の中でも「選帝侯」と呼ばれる、皇帝を選出する権利を持った諸侯による選挙によってまず選出されます。さらにローマ教皇に戴冠されることで、初めて神聖ローマ皇帝を名乗ることが出来ました。

わかりやすく言うと、皇帝の「選出権」は諸侯に。皇帝の「任命権」はローマ教皇にある、といった感じでしょうか。このような政体をもつことから、神聖ローマ帝国は世界史上に存在した国の中でも特に理解が難しい国に挙げられるでしょう。「皇帝」に絶対的権力者というイメージを持つ我々日本人からすれば猶更です。

これらの事情から想像できるように、歴代皇帝は諸侯との関係構築にとにかく苦心してきました。『イサック』の時代に起きた30年戦争も、フェルデナント2世の皇帝就任の際、ドイツ北部のプロテスタント諸侯にカトリックを押し付けようとしたことに端を発します。

『イサック』(月刊アフタヌーン)のあらすじ

物語の舞台は17世紀、30年戦争の嵐が吹き荒れる神聖ローマ帝国。

敬虔なキリスト教徒である少女・ゼッタは暴漢に襲われそうになったところを、一人の東洋人傭兵に救われた。

彼について祖父に聞いてみたが、帝国よりはるか東方のトルコ人でもタタール人でもないという。

やがて要衝・フックスブルク城に到着した2人は、助けてくれた東洋人と再開する。彼の名前はイサック。自分の「仇」である人物を見つけるため、東の果ての日本からヨーロッパへ来たという。

城主であるプリンツ・ハインリッヒと部下たちは期待していた100人単位の傭兵が来ず、1人できた東洋人の傭兵にさしたる期待もしていなかった。

イサックがフックスブルク城に到着した翌日、スペイン軍の大群が押し寄せてきた。相手は城攻めの悪魔と呼ばれる猛将・スピノラ将軍の傭兵部隊。

圧倒的な戦力差を前に城内には絶望感が漂っていた。イサックはこの大群を撃退し、自らの「仇」を見つけることが出来るのか!?

『イサック』(月刊アフタヌーン)の感想

美しく、力強い作画

この作品を読んでまず思ったのは、作画がめちゃくちゃ僕の好みでした(笑)。

以前紹介した『ぐらんぶる』同様、アフタヌーン系列は作画が綺麗な作品が多いですね。

主人公のイサックはじめ、味方の男性キャラクターたちがとにかく重厚に、そして精悍に描かれています。そんな彼らの戦闘シーンはまさに圧巻!銃と剣の戦闘がとてもリアルに描かれ、長編アニメか映画を見ているかのような満足感があります。

イサックの、一心にぶれない姿勢と義理堅い、研ぎ澄まされた日本刀のような性格ともマッチしている、本当に素晴らしい作画であると思います。

アフタヌーン連載『イサック』漫画紹介

物語の読みやすさ

もう一つ、本作の舞台は中世ヨーロッパ。日本では割とマイナーな時代区分です。中世ヨーロッパは王や諸侯の名前、戦争の名前、条約の名前などがとにかく複雑。世界史の授業で苦労した方も多いのではないでしょうか。

そのためか、メジャーな作品の中ではあまり題材にされることが少ない時代ですね。中世ヨーロッパ風の異世界に転生する作品は近年とても人気です。それらはあくまで中世ヨーロッパをモデルにしているというだけにすぎません。

そんな理解が難しい時代を題材にしながらも、『イサック』はとても読みやすい作品です。作中での説明や話の展開が丁寧に描かれていることも大きいですが、何より戦闘シーンが多く、スピード感もあるので容易に読み進んでしまいます。

歴史漫画をあまり読んだことが無いという方にも、是非お勧めしたい作品です。

おわりに

『イサック』漫画紹介、いかがだったでしょうか?

本作は現在14巻まで単行本が発売されています。5/23に最新15巻が発売される予定です。

気になる方は是非月刊アフタヌーンの公式ページをチェックしてみてください。

次の巻を楽しみに待ちたいと思います。

ブログの方もよろしくお願いします!

読書人
読書人

最後まで読んでいただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました